佐渡汽船の現状

決算短信より(2020年夏発表分)

佐渡汽船の決算短信(第一四半期)が2ヶ月遅れでの発表となりました。
3月時点の純利益は▲9.3億円、純資産は約7.6億円となっており、まだ債務超過は確認されませんでした。
しかしながら、注記コメントには以下のことが書かれております。

「営業債務の支払い及び借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じており、翌第2四半期連結会計期間において重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により、当社グループの翌第2四半期 会計期間は債務超過になる見込みです。」


「また、2020年12月期連結会計年度においても、2019年12月期連結会計年度より継続して重要な営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上していることにより、債務超過になる見込みであります。」


「これらのことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。このような状況を解消するために、当社グループでは役員報酬や給与の減額、持続化給付金や雇用調整助成金の活用等の緊急経済対策に基づく諸制度の利用、その他の費用削減等の施策を行います。」


「また、取引金融機関に対し、新型コロナウイルス感染症対応資金として総額で約37億円の資金調達を要請し、交渉を行っております。当社グループとしては、メインバンクを中心に各金融機関と密接な関係を維持出来ていることから、継続的な支援が得られるものと考えております。」

佐渡汽船株式会社 2020年12月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

なお、改善策に関しても以下のコメントが記載されております。

〜以下、抜粋〜
収支の改善と債務超過を解消すべく以下のとおり対応してまいります。


⑴収益基盤の改善
①当社グループでは常勤取締役の役員報酬減額及び部長・課長以上の管理職の給与・賞与の減額を行うとともに、今年度予算の執行についても一旦ゼロベースで見直し、ウィズコロナの状況に照らして最大限の効果が得られるよう費用の削減を行ってまいります。
②急速に進行する佐渡島内の少子高齢化や観光客の減少等に伴い、慢性的な赤字を計上している小木・直江津航路の収支改善を目的とするため、現在就航している高速カーフェリーに替えて、ジェットフォイルを就航させることで費用削減を目指し、関係機関と協議を進めてまいります。
③当社が行っている燃料油価格変動調整金制度は導入から14年以上経過しており、制度導入当初と現在とでは輸送量が大きく減少するなど当社を取り巻く環境が変化し、燃料油上昇コストを十分に回収できていない 状況となっております。このため、燃料油価格変動調整金の見直しを行うべく関係機関との協議を前提に検討を進めてまいります。


⑵債務超過解消のための対応策
①含み益のある資産については売却の検討を行うとともに、財務基盤の良好な一部の連結子会社を完全子会社化することで、当社及び当社グループの資本及び財務基盤の強化を図ってまいります。
②国や自治体が行う新型コロナウイルス感染症対策を積極的に活用するとともに、資本施策について更なる支援が得られるよう、国や自治体、関係機関、メインバンクを中心とした金融機関との協議を進めてまいります。

佐渡汽船株式会社 2020年12月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

しかしながら、金融機関とは一部の資金調達については交渉中であることと、収支の改善と債務超過解消のための対応策は実施途上であることから、現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。
議会としては、佐渡汽船の会長社長に対し、議会へ出向き状況説明してもらうよう要請をかけることになっています。
私が経営者に確認したいことは、会社ホームページに企業理念とともに掲げられている『事業定義』の本旨についてです。

佐渡島と本土を船で結び、人、物を輸送する海上運送事業を通じて、お客様へのトータルサービスを実現します。

佐渡汽船株式会社 ご挨拶・企業理念

これをどれだけ本気に捉えているのか。グループ企業の再編統合は当然実施しなければなりません。そして、最後の最後に航路について着手し、経営改善を図るのが筋だと思います。

航路維持に関する諸課題

7月21日に議員全員協議会の開催通知がありました。
議題:「佐渡汽船の現状と航路維持に関する諸課題についての協議」

佐渡汽船㈱からは、以下3名が出席されました。

  • 代表取締役会長
  • 代表取締役社長
  • 取締役経営企画部長

当日の質疑は事前通告制となっており、私からは以下のような質疑を行いました。

  • 1.佐渡汽船「事業の定義」の本旨についてどこまで本気なのか。
    • (1)ジェットフォイル導入により、小木直江津間の貨物が搬送できなくなる。
      南部エリアの貨物を両津港へ移送する際の補助等については検討されていないのか。
    • (2)経営改善方針「6」、貨物船の運行体制見直しとあるが、具体的にどう変える予定にあるか。
    • (3)経営改善方針「5」、グループ企業(メンテナンス会社、運行会社、マネジメント会社)を含めた費用の圧縮とあるが、
      どの程度経営の効率化が図られるのか、具体的な数字を示した説明を求める。
  • 2.資金対策について
  • 3.Withコロナ対策について水際対策として佐渡汽船の果たす役割は大きいと考える。
    乗船名簿への記載は任意ではなく、義務化させるべきではないか。
    安心して佐渡へ渡れることを担保していく試みはどんな些細なことでも実践していくべきである。
    これらの積み重ねが、売上の改善にも繋がるものと考えるが、どうか。
佐渡汽船 経営改善、老朽船舶更新に向けた方針について
佐渡汽船がプレスで発表した経営改善方針

9月議会一般質問

ジェットフォイル更新について、万一資金提供せざるを得ない局面となった際は、あかね導入時の反省を踏まえ、補助金活用の成果を評価するような仕組みを導入すべきである。
地域住民にとってどのような付加価値を期待するのか、具体的なKPIを設定し、客観的な指標を示すべきである。

【市長】
補助事業を行う場合は、その補助事業に対する目標等を設定するので、その中で数値目標等を整理していくべきだと判断する。

佐渡汽船は6月時点で債務超過となった。
係留費用としての岸壁使用料(年間約2000万)の免除について、佐渡航路確保維持改善協議会の場で伝えてはどうか。

【総合政策監】
協議会は航路の経営改善や、安定化に向け、様々な関係者と協議する場なので、取り上げて対応したいと考える。

佐渡汽船が事業者向けに貨物運賃に関する意見交換会を行い、値上げありきだったという話を聞いた。
具体的には、10%の貨物運賃の値上げを考えており、その後、段階的に5%ずつ引き上げていくとのことである。
コロナ禍にあって大変なのは佐渡汽船だけではないと考えるが、どうか。

【市長】
現実的に大きな赤字を抱えているという現状もある。
しかしながら、佐渡の産業を考えた時、今でも非常に高い運賃コストである。
この部分の手当てを何も考えず、ただ上げるというのは、今の経済状態の中で、すぐ賛成と言える状況ではない。

佐渡島と本土を船で結び、人、物を輸送する海上運送事業を通じて、お客様へのトータルサービスを実現します
〈佐渡汽船HP 事業の定義より〉


荷物を出している様々な業種の競争力を下げる要因を作ることになる。これでは、佐渡汽船「事業の定義」と真逆である。
貨物運賃の値上げについては、協議会の中で撤回を申し入れていただきたいと考えるが、どうか。

【総合政策監】
貨物運賃の値上げは荷主へのコスト転換、産業への影響が計り知れない。
段階的な引き上げなど含め、非合理な部分は市としても産業界の方々など、様々な人たちの声を聞きながら対応したい。

令和2年9月11日 第7回佐渡市議会定例会
後藤ゆうすけ 一般質問(3:05:05〜)

新庁舎に関する連合審査

9月25日本会議での採決は、反対一名の可決となりました。

令和2年9月定例会 総務文教常任委員会連合審査
後藤ゆうすけ 質疑(0:04:49〜0:27:07)

最近の活動はこちら
Facebook
Twitter
佐渡市議会HP

後藤ゆうすけ 公式