議員会派「地域政策研究会」のニュースレターを2020年1月に発行しました。
後藤担当の部分を抜粋して掲載します。
今年度の一般質問を振り返って
【6月議会】エコアイランド佐渡島を観光政策の柱とする
6月議会でテーマにしたのは『エコアイランド佐渡島を観光政策の柱とする』です。
県が掲げる「自然エネルギーの島構想」と連携することで、国・県の支援や補助を受けることができると考え一般質問に臨みました。
市長からは、洋上風力発電の導入に向けた環境整備に取り組むとの答弁がありました。
しかし、多額のイニシャルコスト(初期費用)については民間投資を呼び込むことが前提となっているため、非常に難しい側面を持ち合わせた政策とも言えます。
- 自家消費によるエネルギーの自給自足(太陽光、バイオマスなど)
- 災害に強い分散型エネルギー
上記のようなキーワードを基に、今後別な形でのアプローチが必要ではないかと考えております。
【9月議会】UIターン者が安心して子育てできる島へ
9月議会でテーマにしたのは『UIターン者が安心して子育てできる島へ』です。
市はUIターンの促進に力を入れております。それと同時に、子育て世代が安心して働ける環境を整えていく必要があります。
その一つに病児保育が挙げられます。県内20市中、病児保育施設が無いのは佐渡を入れて2市しかありません。
答弁では、医療機関との連携体制が構築できていない等の理由により、設置の目途が立っていないとの報告がありました。
しかしながら、病児保育の保護者ニーズは一定数あるものと考えております。
選択肢を増やしていくことは『まちの豊かさ』そのものであり、UIターン者から選ばれる自治体へ直結していきます。
今後も病児保育の実現に向け働きかけていきたいと思います。
【12月議会】人生100年時代を見据えた佐渡
12月議会でテーマにしたのは『人生100年時代を見据えた佐渡』です。
昨年5月、新聞報道等で「70歳雇用へ、企業に努力義務」との見出しが散見されました。
国は、65歳超雇用推進助成金として、
- 65歳以上への定年の引き上げ
- 定年の定めの廃止
- 希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入
上記のいずれかを導入した事業主に対し、助成制度を実施しております。
全国に先駆け、定年を70歳に引き上げた企業に対し、市独自の上乗せ補助を実施してはどうかと一般質問で取り上げました。
市長からは、一定の雇用支援・定年延長支援については検討すべきであるとの答弁がありました。
健康寿命を延ばすためには仕事を持ち続けることが重要だと考えます。
今後も様々な角度から本案件に取り組んで参りたいと思います。
平成30年度、決算審査における総括
議会で決算が不認定になるとどうなるのか?
昨年11月、決算審査特別委員会のメンバーに選任され、平成30年度に実施された市の様々な事業に対し、担当課毎に一つずつ審査を行いました。
委員会で一般会計について不認定となり、本会議の採決でも不認定という結果となりました。
特に、ガバナンス(内部統制)については、「議会から再三再四にわたり、指摘している事項が全く改善されていない」との厳しい指摘がなされました。
議会で決算が不認定になるとどうなるのか?現行では不認定に伴う法的拘束力はありません。
しかしながら、決算審査の意義は「行政の客観的判断と今後の改善及び、反省事項の把握と活用、そして、その結果を基に財政運営の一層の健全化と適正化に役立てること」と定義されております。
さらに、地方自治法が改正され、市長は不認定を踏まえた対応をとった場合、議会に報告し公表することが義務付けられました。
組織体制の問題
昨年3月に発生したジェットフォイル事故では、当時市長の対応が問題視されましたが、私は個人の資質の問題というより組織体制の問題について改善を求めました。
具体的には「10名以上の怪我人が発生した場合、消防本部では警防本部が立ち上がるが、警防本部が立ち上がると同時に、外部機関との調整役を果たす意味で、市長をトップとする連絡調整本部を立ち上げること」を意見として付けさせていただきました。
有事の際は個人の力量だけに頼らず、組織力を発揮し対応していく必要があり、そのための仕組みが欠如しているからトップ不在という状態を招く一因になったのではないかと考えております。
看護師不足の課題
また、個別の案件としては、看護師不足の課題に対する市の取り組み姿勢について改善を求めました。
これは医療分野における人手不足の問題だけに留まらず、病児保育の実現を阻む要因にも直結しており、影響が多方面に渡る課題であると考えます。
市はこれまで、医療系大学等への進学先に対しUターンに繋がるような積極的な営業活動は実施しておりませんでした。
今回の決算審査後にようやく県内の進学先に対してアプローチできたとヒアリングしておりますが、他の自治体との競争に晒されている状況下にあるのは変わりありません。
頭一つ抜け出すためにも、県内外問わず、進学先に対し積極的な営業活動を実施すべきであると、行政執行部に意見を付けさせていただきました。
昨年の決算審査では、多くの意見が付いたにも関わらず「不認定」とはなりませんでした。
その真意にあるのは、厳しくも温かいメッセージとして、行政に改善を求める強い思い、そしてその思いに応えてくれるだろう期待感が込められていたのではないかと考えます。
今回の結果を踏まえて、行財政運営の一層の健全化と適正化に役立て、将来に向けた前向きな市政運営に繋がることを強く求めていきたいと思います。
編集後記
昨年4月、佐渡市初の補欠選挙で市議会議員となり、早9か月が経ちました。
6、9、12月の定例会、そして11月の決算審査を通じ、議論を重ねより良い市政運営に繋げていくことが重要だと感じております。
行政と議会が対立に終始していては、市政を前進させていくことができません。行政も議会も根っこにあるのは「佐渡を良くしたい」という思いに尽きます。
活発な議論を経て、第三案を導き出せるよう、自身の研鑽を積んで参りたいと思います。