2019年4月に佐渡市議会議員となり早1年近く経ちます。
これまでの活動を振り返ります。

9月議会報告・街頭演説

(1)学校給食の外部委託について

9月議会で争点の一つになったのは、学校給食の外部委託についてです。結果的には全会一致で否決となりました。
一体何が問題だったのか、3つの観点よりお伝えしたいと思います。

《①市が説明責任をきちんと果たしていない》
そもそも説明会の開催時期が遅過ぎました。また、説明会は保護者のみに限定されていたため、広く市民の方が外部委託の計画を知ることができませんでした。これでは説明責任を十分に果たしているとは言えません。

《②事業者の選定方法に対する問題》
学校給食の業者選定方式が、「質」を重視しない採点方法だったことが議会審査の過程で明らかとなりました。
「安かろう悪かろう」では、安心安全な学校給食を担保することなど決してできません。

《③コスト削減にも繋がらなかった》
当初、学校給食調理および搬送業務を外部に委託することで、市のコスト削減に繋がると執行部より説明がなされておりました。

しかし、議会の担当委員会で精査したところ、市全体の経費(人件費等を含む)でみれば、外部委託することで、逆に3,000万強もコストが増大してしまうという驚愕の事実が発覚したのです。 ※「学校給食の外部委託」単体で見れば、若干のコスト減となります。

外部委託することで臨時職員の方は雇止めとなり、委託先の民間企業へ移ることになります(採用面接などに合格すれば)。

しかし、正規職員については雇止めすることはできません。苦肉の策として市が考えたのは、保育園で調理担当として働く臨時職員の方も雇止めにしてしまい、代わりに正規職員を欠員補充させる形で人数調整を図ることでした。

臨時職員を正規職員に置き換えてしまうので、当然、人件費が大幅に上がってしまいます。本末転倒な計画実態が浮き彫りとなったのです。

学校給食単体で見れば若干のコストダウンとなりますが、保育園の調理業務を含む「市全体の人件費」で見れば、大幅なコスト増になることが議会審査で明らかとなりました。

給食の質が上がるわけでもなく、コスト削減にも繋がらない。これでは一体何のために外部委託するのか全くもって意味が分かりません。

(2)保育の無償化

10月より、保育の無償化がスタートしました。佐渡市では、保育園給食の「副食費」についても、市独自の予算で無償化することが可決されました。しかし、ここにもうひと工夫加える必要があったのではないかと考えます。

「主食(ごはん)」を含む給食費を完全に無償化させることで広く注目を集め、佐渡の取り組みを全国に発信させることができたのではないかと考えます。

模範事例として挙げられるのは、子育てで有名な明石市の取り組みです。明石では佐渡と同じように、第二子以降の保育の無償化を、市独自の予算で実施しております。

国が進める保育の無償化に伴い、浮いた財源を元手として、中学校の給食費まで無償化するといった大胆な策を打ち出しました。

明石市の泉市長によれば、
「浮いた財源は元々子供のための予算であるため、これを子どものために使いたい。子供を支えることで人口が増え、税収増にも繋がっている。このような好循環を拡大させたい」。
このように述べられております。これこそが知恵のある活きた政策の鑑であると私は考えます。

ttps://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/201909/0012740275.shtml

佐渡もやるなら県内トップの施策を打つべきです。どうしたらより効果的に、そして小ない投資で大きなリターンを得られるのか、こういったことを追求していくことは首長の手腕を測る上で、重要なポイントであるように感じます。

(3)病児保育の必要性

9月の一般質問で、病児保育の必要性について訴えさせていただきました。市長から、医療機関との連携が構築されていないため、設置の目途は立っていないと説明がありました。

「体調不良型の病児保育」については、島内で唯一、私立の保育園が実施しておりますが、これを公立の保育園にも普及させてはどうかと質問したところ、看護師不足等の問題があり、現状では難しいとの答弁でした。

しかしながら、周囲に頼れる人が少ない移住者の方、そして一人親の方、こういった方々のことを考えれば、やはり病児保育は佐渡に必要なのではないかと私は考えます。

市は給付型の奨学金制度を実施しております。しかし、佐渡に帰って働くことのできる職場は本土に比べそう多くはありません。
だとすれば、看護師確保のための給付型奨学金制度を拡充させ、専門職を目指す意欲のある若者を島内外から呼び込み、病児保育を実現させることも可能ではないかと考えます。

子育てや医療福祉に市が責任をもてる体制を整え、安心して佐渡で子供を産み育てる環境にしていけるよう引き続き訴えてまいりたいと思います。

(4)総括

街頭演説を通じて、佐渡市に一番欠けているのは「グランドデザイン(全体構想)」が存在していないことだと感じました。

11月は佐渡市将来ビジョンの市民意見交換会が主要箇所で開催される予定ですが、行政のアリバイづくりに終始してしまっては全くもって意味がありません。

首長の立場に立てば、全体構想を作るのは容易ではないことが理解できます。だからこそ市民も参画でき、市民も責任の一端を担えるようなものでなくてはならないと考えた次第です。 

2019年10月 街頭演説の様子

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後藤ゆうすけ 公式