議員引退のご挨拶

2024/3/31 更新

この度、次期、市議会議員選挙には立候補せず今期で議員を引退することに致しました。補欠選からの2期5年に渡り関係者の皆様には大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。

これまでを振り返りますと、任期前半は、「交通・観光・医療・エネルギー」に注力し、後半は「教育・福祉」などをテーマとして、一般質問等で取り上げて参りました。成果と言えるようなものはあまり無かったかと思いますが、公開の場での質問により、改善された案件などもありました。

そもそもなぜ議員になろうと思ったか

一言で言うと、まちづくりがしたかったからです。10年以上前、コミュニティデザインで有名な山崎亮さんのstudio-Lの求人対象者に元議員とあり、議員はまちづくりのプロフェッショナルなんだろうなと当時思いました(行政の流れや、政策形成などの知見があるためだと思いますが)。また、学生時代にお世話になった方がいつの間にか地元の議員になっていたことなどもあり、意外と議員が身近な存在でした。そして、今後、自分がさらに成長していくため、これまでとは異なる舞台を探しており、ちょうど補欠選挙が行われるタイミングで知人からの誘いもあったので、この道を選びました。

議員活動で印象に残っていることは

当時、金井小学校でスクールバスの事故がありました。市としてバスの運行管理体制を見直す必要がありましたが、一般質問を通じてこれを質し、運転業務を個人委託から業者委託へと徐々に切り替えていくことになりました(これで万事良しではありませんが)。きっかけは市民(保護者)からの問い合わせと提案によるものでした。そういう意味で、まちづくりの主体者は飽くまで『市民』であることを実感することができました。議員はその実現に向けてサポートする役回りになることが必要です。

もう一つは、佐渡市が国の「脱炭素先行地域」に選ばれたことです。令和3年6月議会の一般質問で、脱炭素先行地域に選出されるよう市に提案しました。当時の総合政策監が、以前環境省に配属されていたこともあり、かなり尽力してくれたと後になってから聞きました。とはいえ、一番頑張ったのは担当課である企画課のメンバーだったと思います(本当にお疲れ様でした)。お陰様で、今年度の当初予算では、国から約11億強の予算を獲得し、公共施設への太陽光発電設備や、電気自動車などの導入促進へと繋がっています。

課題と改善点

「議員個人は空砲、議会としてまとまれば大砲」という言葉があります。組織としての議会活動を活発にさせていくことが佐渡市議会の課題です。昨年12月定例会でようやく議会基本条例が可決されました(4月1日施行)。これにより、市民との意見交換会を「議会」として対応できるようになります。さらに言えば、各常任委員会が業界団体との意見交換会を行ったり、専門分野について講師を招いての勉強会を開催するなど、積極的に情報収集や研鑽を深めていく必要があると思います(議員個人としての自己研鑽は当然ですが)。

また、「通年議会制」の導入により、議会活動の数を増やすことで、より一層議会を活発化させていくことが望ましい状態だと思います。おそらく、その方が若い議員が増えてくるのではないかと個人的に思います(片手間の議員では到底ついていけません)。本市は、議員報酬が県内自治体でも低い方です。私の考えでは議員報酬より、政務活動費こそ充実させて欲しいと言うのが本音です(本市は議員一人につき月額1万円)。昨年、全国若手議員の会北信越ブロックの代表を務めました。全国の仲間との交流は視野が広がり、様々な研修を受けることができました(費用は全て自費です)。残念なことですが、月わずか一万円の政務活動費を満足に使うことなく市に返還している議員もいるため、あまり声高には言えないのが本市の実態です。

地域に必要なことは何か

11月に早稲田の全国マニフェスト大賞に参加してきました。「議会、議員、首長、市民」などの分野で優秀賞が選ばれるのですが、印象に残ったのは市民部門での活動です。佐渡の姉妹都市である国分寺市では、20〜30代を中心とする若手が選挙への関心と投票率を上げるために、立候補者一人ひとりに3分程度のインタビューを行い、Web上に全員分の動画をアップしました。有権者はこのサイトを見れば、どの候補者がどんなことを考えているのか一目瞭然でわかります。結果、投票率が数ポイント上がったとのことです。

もう一つは、つくば市の障がい当事者の方達が、立候補者に公開質問状を投げかけ、それに対する回答をWeb上で見える化したことです。その後、自分達が提案した福祉施策6つの内、4つが採用されたとのことです。このように「市民発」の政治への関わりがとても良いなと共感しました。分断された特定の人達だけで物事を決めるのではなく、境界線を緩やかにしていく取り組みが求められると私は思います。その好事例が先の2つだったように思います。

なぜ議員をやめるのか

これまで政策提言していく中で、「結局誰がやるの?」で進まないようなケースもありました。また、議員を実際にやってみて肌に馴染むものと、そうでないものもあったと思います。一方、議員になったからこそ得られたもの、分かったことも多くありました。私自身Iターン者なので、議員になる前はまだ地域との接点が薄かったように思います(そうでは無いIターン者も多くいるとは思いますが)。
私自身の今後は、地域に新たな社会資源を作り、選択肢を増やす取り組みをしたいと考えております。

具体的には障がい福祉の分野なのですが、佐渡には無い就労継続支援A型事業所を将来的に立ち上げることができればと思います。しかし、運営上のハードルが高くすぐには難しいです。設立要件の「サービス管理責任者」の確保も容易ではありません。そこで、LLPを活用した「事業協同組合等算定特例」の制度を活用することも一つの手だと思っています。これまでは国家戦略特区に限定された制度でしたが、今年度から全国でできるようになりました。この枠組みを使って、組合に参入している企業から業務として受注していき、一定程度まで増やすことができればA型事業所の設立も可能ではないかと考えています。

まずは、地元の企業とタッグを組んで、業務の切り出しを行っていく中で、障がいを持つ方の短時間就労に取り組むことができればと考えております。そのためには、企業の中に入ってコンサルティングしていく必要があります。

最後になりますが、これまでご支援いただきました皆様には本当に心からの感謝を申し上げます。今後も佐渡を舞台にチャレンジしていきたいと思っております。引き続きご指導くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます!

後藤ゆうすけ 公式